エズラ記

エズラ記を読むにあたって

聖書の他の書物との関係

  • エズラ記とネヘミヤ記は、ヘブル語聖書では一つの書物。[1]p407
  • エズラ記、ハガイ書、ゼカリヤ書は、神殿再建の時の書物。[1]p407
  • エステル書、ダニエル書とも時期が重なる。

歴史的背景

捕囚の開始
  • BC605年 ダニエルら、人質としてバビロンへ(Ⅱ列王24:1、ダニエル1章) [1]付録年表
  • BC597年 ネブカデネザル王によりエルサレム陥落、エホヤキン王ら、ユダの民がバビロンに捕囚となる。[1]付録年表
  • BC587年 ネブカデネザル2世、エルサレムの神殿を破壊。ユダの多くの民がバビロンに捕囚 [1] 付録年表
  • BC539年 ベルシャツァルの大宴会(ダニエル5章)/ペルシアのクロス王によりバビロン陥落。[1] 付録年表
捕囚からの帰還
  • BC539年 (キュロスの第1年)クロス王により、ユダヤ人の帰還の許可(エズラ1:1-4) [1]付録年表
  • BC538年 ゼルバベルによる第1回目のエルサレム帰還(エズラ1,2章) [1]p422
  • BC537年 帰還の民の到着。(第七の月)祭壇の再建(エズラ3:1-6) [1]p409
  • BC536年 (第二の月)神殿の基礎を据える(エズラ3:8,11,12) [1]p413
  • BC521年? (ダリヨス王の治世第一年) ダニエル、エルサレムのために断食(ダニエル9章)
  • BC520年 (ダリヨスの治世第2年)預言者ハガイとゼカリヤの預言(エズラ4:24, ハガイ1:1,15, 2:1,10,20、ゼカリヤ1:1,7)神殿の工事の再開 (ダリヨスの4年に再びゼカリヤに預言(7章)断食に関して。)
  • BC515年 (ダリヨスの治世第6年アダルの月)神殿の完成 [1]p409
  • BC480年ごろ ゼカリヤ書後半(9~14章)が書かれる。[1] p841
  • BC458年 エズラによる第2回目のエルサレム帰還 [1] p422
  • BC445年 ネヘミヤによる第3回目のエルサレム帰還 [1] p424

 

バビロン捕囚が70年続く預言について

エレミヤは、ユダヤ人のバビロン捕囚が70年で終わると預言した。(エレミヤ25:11、29:10)ダニエルもこれを知り、祈った。(ダニエル9:2)

70年という期間については、2説ある。([1]p409)

  1. 捕囚が始まったBC605年から、BC537年の祭壇再建まで。
  2. BC586年の神殿破壊から、BC515年の神殿再建まで

後者の説をとる学者が多い。([1]p409)

 

エズラ記の記述と年代

エズラ記の大区分

エズラ記の記事は、年代的に2つに分かれる。([1]p407)

1~6章:BC538年 ゼルバベルによる第1回目エルサレム帰還

     ~BC515年 神殿再建の完成

7~10章:BC458年 エズラによる第2回目のエルサレム帰還

     ~BC450年 

 

エズラ記の前半(ゼルバベルによる第1次帰還~神殿再建)の年代

 ゼルバベルら第1次帰還民の帰還から神殿再建までのエズラ記1章から6章までの記述は、基本的には時系列になっているが、エズラ記の一部(4:6-23)は時系列に従っていない。そのため、神殿再建までの流れが分かりにくい。エルサレムの復興は、大きくは祭壇の建設、神殿の再建、城壁の再建(主にネヘミヤ記)となる。

 エズラ記の前半(エルサレム再建)は、時系列に従うと、以下の順序で進んだ。

  1. ゼルバベルによるエルサレム帰還1~2章
  2. 祭壇の建設(エズラ3:1-5,6)
  3. 神殿の建築(エズラ3:8-13)
  4. 神殿の工事の中断(エズラ4:1-5)
  5. 神殿の工事の再開(エズラ5:1-5)
  6. 神殿の工事へのダリヨス王の許可(エズラ5:6-17,6:1-22)
  7. 神殿の完成(エズラ6:13-22)

 エズラ記4:6-23は、時系列的には6章以降にあたる。アルタシャスタ王(アルタクセルクセス)の時代は、ダリヨス王よりも後である。エズラ記7:1がアルタシャスタの時代である。

エズラ記の後半(エズラによる第2次帰還~)の年代

 エズラによる第2次帰還はBC458年で、ゼルバベルによる第1次帰還の80年後である。神殿が完成した6章の終わり(BC515年)から、60年以上が経過している。アルタシャスタ王の時代である。

 アハシュエロス王は、アルタシャスタの父であり、エズラ記の6章と7章の間にあたる。エステル記の出来事は、この間に起こった。[1] p417

 

その他

 帰還の道のりは、バビロンから(砂漠地帯を迂回して)1,400~1,500kmで、約4か月かかった。[1] p419

 

王の順番

(抜け漏れ等あるかもしれません。順番のみ。)

バビロニア ネブカデネザル2世

バビロニア ベルシャツァル

ペルシャ  クロス(エズラ1:1)

ペルシャ  ダリヨス

ペルシャ  アハシュエロス(エステル記)

ペルシャ  アルタシャスタ(アルタクセルクセス)

 

参考文献:

1.「BIBLEnavi ディボーショナル聖書注解」いのちのことば社